映像で学ぶ 鈴子さんの エンド・オブ・ライフ ケア 映像で学ぶ 鈴子さんの エンド・オブ・ライフ ケア

近年、高齢者施設における看取りの実施は8割を超えています。介護保険施設においてエンドオブライフケアの取り組みがなされるようになり、看取りの質を保証していくためには職員へのエンドオブライフケア教育が重要になります。実例を振り返る学習では、学習者が事前に学習できない、学習者の心理的負担感が生じるなどの課題があります。

そこで、倫理的・心理的負担感を感じることが少なくてすむようにペルソナ教材を開発・作成しました。この教材は、ドラマ風の動画であり、事例学習に比べるとリアリティがあります。また、インターネットを経由して視聴できるように設計してあるため、学習者が自宅などの環境で、好きな時間に学習することが可能です。個人ワークの学習をできるほか、研修等のグループワーク活動でも活用することができます。

教材開発の目的は、質の良い看取りケアが高齢者施設において実践されることへの願いです。是非、ご活用ください。

動画は以下の7つのチャプターに分かれています。

  • チャプター1 
    鈴子さんの日々の生活を考える
  • チャプター2 
    突然の異変に対応する
  • チャプター3 
    鈴子さんが死の危険からリカバリー出来た後のケアを考える
  • チャプター4 
    鈴子さんの看取りの方針をみんなで意識する
  • チャプター5 
    お別れが近づく
  • チャプター6 
    鈴子さんの旅立ちを見送る
  • チャプター7 
    ご家族へのグリーフケアを行う
はじめに
高齢者施設における看取りケア学習のためのペルソナ教材です。

実際の看取りの体験が、看取りケアの学習に大きく影響するとされます。しかし、学習のために人の死に向かうことは倫理的にも道徳的にも避けたいことです。

そこで、ペルソナ教育として本動画教材では、映像を通して高齢者の看取りを体験し、疑似体験と共に看取りケアを深く考える機会を提供します。どのような看取りケアを行うのか?個人や職種別に考えること、集団や多職種が共に考えることを通してその内容をより現実的に深めていきます。

この動画教材による看取り体験は、段階的に死へと進みます。体験とそこで考えたケア内容は、看取りの進行後に振り返ることで、演繹的な学習だけでなく帰納的な学習成果を得ることが期待できます。

ペルソナ教育による事例学習は、リアリティのある事前学習ができる、また、何回でも繰り返し学習ができる利点があり、繊細な人の死のケア教育に適しています。

この教材の使い方
問いかけについて、スタッフ同士で話し合う時間を持ってください。

この動画教材では、「鈴子さん」の事例を通して、高齢者施設におけるエンドオブライフケアを段階的に体験できるようになっています。

各チャプターの最後には研修受講者への問いかけがありますので、動画を一時停止し、数名のグループで話し合ってみてください。
職種や施設の状況などに応じて、様々な意見や考えが出され、それらが共有されることでしょう。

これらを通して、実際の看取りの心構えや準備ができることを期待しています。

各チャプターの狙い
各チャプターのねらいは以下の通りです。
チャプター1
  • 高齢者ケアにおいては日々のケアの中にすでに、EOLの視点が含まれていることを知る。
  • 各職種がそれぞれのレベルでの役割を持つことを知る。
チャプター2
  • 突然の異変に対応できるための日頃の備えとしてできることを考える。
チャプター3
  • 繰り返される危機あるいはリカバリできない時を想定して準備ができる。
チャプター4
  • 多職種で施設内で看取りケアのコンセンサスを形成するプロセスを確立する。
チャプター5
  • 死期の2週前は、身体変化が顕著になる時期である。
    落ち着いてケアにあたるために予測力と対応力を育成する。
チャプター6
  • 死期の数日前は、緊張が伴う。家族などケア対象者が増える。
    それを想定した上で具体的な行動を考えておくことができる。
  • 個とチームとの連携を意識した行動を考えることができる。
チャプター7
  • 自身の心の状態を理解し、人に伝えることができる。
  • 遺族への言葉掛けを具体的に想定しておくことができる。
  • 今回の体験からの学びが整理でき、次の看取りケアに発展させられる。

動画の視聴方法

  • 動画視聴においては、①利用目的 ②利用範囲(視聴者範囲)、③利用期間、④利用者氏名・所属を添えてご連絡ください。折り返し、視聴用パスワードをメールでお伝えします。
    連絡先:y-harasawa@sozo.ac.jp
  • パスワードは毎年、変更します。更新日は、管理者任意となります。
    再度ご覧になりたい場合には改めてご連絡ください。
  • 動画の視聴画面の操作方法はこちらのページをご参照ください。

利用にあたり注意事項

  • この動画は科学研究費助成事業の資金を受けて作成しました。営利を目的とした使用を禁止します。
  • この動画を活用した研究報告を行う場合は、使用動画の名称を次のように明記してください。
    原沢優子作成:「ペルソナ教材:映像で学ぶ 鈴子さんの エンド・オブ・ライフ ケア」

制作関係者

  • 出演:

    蓮池桂子、後藤龍馬、森恵美、倉田奈純、岡義廣、島隆一、イグロヒデアキ、山下ケイジ、中田陽子、寺田浩子、糸数昌視、入居者の皆様

  • 撮影:岩崎登
  • 録音:鈴木はるか
  • 照明:斉藤順
  • 助監督:市原博文
  • 記録・編集・ナレーション:増本竜馬
  • 衣装・制作:中條夏実
  • ヘアメイク:黒木瞳子
  • 演出応援:羽石龍平
  • 撮影助手:吉田岳男
  • 制作:水野皓太、多田浩志、佐藤友美
  • 車両応援:斉藤宣紀
  • 撮影協力:社会福祉法人 福祉楽団 杜の家やしお スタッフの皆様 入居者の皆様
  • 機材協力:内田直人
  • 進行マネジメント:株式会社ユピア
  • 動画制作:シネマ健康会
  • 演出・脚本:松本卓也
  • 発案者・原案監修:原沢優子